「やりたい仕事がない」「自分が何をしたいか分からない」と悩まれていませんか。
まず仕事を探し始める段階で、既にやりたい仕事がある方はラッキーなだけです。”やりたい仕事がない”は普通なので安心してください。他にも同じ悩みを抱える方はたくさんいます。
筆者も過去二度の転職を経験しましたが、いずれももともと”やりたいこと”であったわけではありません。
もちろん”やりたい仕事”があるのは幸せなことです。ただ、瞬間的な興味で仕事を選んでしまうと「こんなはずじゃなかった…」と後悔する可能性があるので、仕事選びは慎重に進める必要があります。
当記事は、元キャリアアドバイザーで上場企業の管理職として新卒・中途採用も担当する筆者が、やりたい仕事がない場合の対処法を解説したものです。
やりたい仕事がない理由
あなたがやりたい仕事を見つけられていないのは、まだ、職業知識と思考時間が足りていないからです。興味を持てる仕事は必ずあります。
- 理由① 仕事の知識が足りていない
- 業界や職業のことを知らない
- 仕事を選ぶための比較基準を持っていない
- 理由② 考える時間が足りていない
- 面倒な調査や比較を無意識に避けてしまう
- そもそも仕事選びの重要性を理解していない
このように、悩まれている方の多くは、この世界にどのような仕事があるかを十分に知らないまま「自分にはやりたい仕事がない」と考えているケースがほとんどです。
やりたい仕事を選ぶ前に認識すべき”勘違い”
やりたい仕事の見つけ方を知る前に、まずは認識すべき”3つの勘違い”について解説していきます。仕事選びで時間を無駄にしないためにもみていきましょう。
勘違い① ”将来の夢”が必要だと思っている
よくある勘違い1つめは「将来の夢が必要だと思っていること」です。将来の夢があれば、他人から応援されやすくなりますが、ない夢を描く必要はありません。
実際、漫画やアニメでも「夢や目標に向かって頑張り続けること」が美談として語られるケースが多く、小さい頃から「将来の夢は?」と、まるで夢があることが当たり前かのような教育が行われているので勘違いされやすいのですが、夢は必要ではありません。
心にもない夢を掲げる虚しさ
夢が必要だと勘違いしているせいで、就活や転職活動になった途端、急に「貧困をなくしたい」「食で人々を幸せにしたい」と、心にもない夢を掲げてしまう現象が起きます。
その結果「ではその夢を叶える最短の道を通ればいいのでは?弊社に入社する必要ありますか?」と面接官に指摘され、苦しい言い訳しか返せなくなるのです。
夢がないことを恥じる必要はありません。そもそも日本人のほとんどは夢なんて持っていないことがほとんどです(もちろん私もその一人です)
むしろ恥ずべきは、本心で納得していないのに、”夢はあるべき”という固定観念に屈し、自分自身を騙してしまうことだと思います。
全力で生きた”今”の積み重ねは必ず実を結ぶ
有名なキャリア理論「計画された偶発性理論」においても、個人のキャリアの8割は偶発的な出来事で決まるとされています。過去に決めた”夢”ではありません。
そしてキャリアを良い方向に導く出来事は、5つの行動特性(好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心)で呼び込めるとされており、たとえ現時点で夢や目標がなくても”今を集中して生きる”ことで、いつか遠くない未来で意味を成すことが説かれています。
つまり、いまやっていることや興味を持てた仕事に、真剣に向き合い、努力を重ねることが重要なのです。空虚な夢ばかり掲げて、目の前のことに本気で取り組まない人間に、良い未来が訪れることはありません。
勘違い② 無駄な”自己分析”に時間を浪費する
仕事を選ぶときの勘違い2つめは「自己分析をすれば、やりたい仕事が見つかる」と考えてしまい、無駄に時間を浪費するようなケースです。
それこそMBTIやエゴグラムをはじめとした性格診断はほとんど”占い”のようなものです。モチベーショングラフや意思決定の深掘りでさえも、仕事選びでは役に立ちません(面接の自己PRに使えるくらいです。)
自分の過去に適職のヒントは少ない
あなたを幸せにする仕事は、あなたの”過去”にではなく”未来”にあるので、過去の記憶や体験を見つめたとしても”適職のヒント”はそうそうありません。
仕事の見つけ方としてよくある「過去の経験からそれっぽいポイントを見つけて、仕事で得られる体験とそれっぽく重ねる」ことは”視野が狭い”としか言いようがない典型例です。
- お客さんのためになって嬉しかった
→営業職として顧客接点のある仕事を探す - ボランティアをしていた過去がある
→社会貢献度の高い事業や企業を探す - 旅行するのが好き
→旅行業界やホテル業界の仕事を探す
上記のような探し方は、ぱっとみ筋が通っているように思えますが、他の可能性を見ることができていないので「ベストな選択」とは言い切れません。本来はさまざまな軸で比較、吟味すべきです。
業界や仕事の分析の方がずっと大事
人は自己分析にばかり時間をかけてしまう傾向にありますが(なんだかんだ自分自身に興味がありますからね)、仕事を選ぶのであれば、まずは仕事(業界や職種)の分析をすべきです。
不思議なことに、株式投資をするときには企業の将来性や安全性をIR資料や業界トレンドを読み解いて念入りに調査する方が多いものの、就職や転職活動となると企業分析を疎かにしてしまう方が多くいます。
詳しくは別記事「仕事選びで重視すべき10基準」で解説していますが、最低でも以下のような要素を網羅的に把握するようにしましょう。
- 業界構造、ビジネスモデル
- 企業のIR、中期計画、事業戦略
- 希望職種の仕事内容や目標、給与テーブル
- どう成長できるか、やりがい&辛いところ
勘違い③ 最初から”やりがい”を探そうとする
仕事を選ぶときの勘違い3つめは「最初から”やりがい”のある仕事が見つかると思っていること」です。やったことがない仕事の魅力や苦労はわかりません。
最初からやりがいを求めてしまうと入社後に「こんなはずでは…」とネガティブなギャップになりやすく、さらに本当はもっと適した仕事があったとしても「なんか面白くなさそう」と敬遠してしまう可能性すらあります。非常にもったいないことです。
やりがいが湧いてくるのは、時間をかけた後
心理学の「グロウスパッション」という考え方では、時間をかけて努力をしたからこそ情熱が生まれてくるとされています。情熱があるから努力をするのではありません。
たとえ最初は興味がなかったとしても、思わぬ魅力に気づいてだんだん熱中していったことは、誰しも一度くらいは経験があるのではないでしょうか。
もちろん嫌いなことを無理してやる必要はありません。ただ、目の前のことに本気で向き合ってみることで、生涯をかけて情熱を注げる”生きがい”が見つかるかもしれません。
”仕事は仕事”と割り切った方が長続きする
オックスフォード大学の研究でも、好きを仕事にするより、”仕事は仕事”と割り切ったほうが、上達が早く、長続きもすることが明らかになっています。(出典:Negotiating the Challenges of a Calling: Emotion and Enacted Sensemaking in Animal Shelter Work(2016))
実際、どのような仕事にも嫌な側面はあるので、仕事に高い理想像を掲げて入社すると、どうしてもギャップを感じてモチベーションが下がってしまうのです。
そのため、やりがいや充実感といった期待を寄せすぎず、ほどよく割り切って仕事を選ぶことも重要です。最初はほんの少しの興味があれば良いのです。
仕事を始める前からやりがいを追い求めすぎると、入社後のギャップに苦しむ可能性があるので、期待はほどほどにするのが楽しむコツですよ!
やりたい仕事を選ぶときの注意点・ポイント
ここでは仕事を選ぶ上でのよくある注意点についてお伝えしていきます。
- 注意点① 給料やブランド力で選ばない
- 注意点② “好き”で仕事を選ばない
- 注意点③ 生涯の仕事にできそうかで選ばない
- 注意点④ ”あと1年で死ぬなら”で選ばない
注意点① 給料やブランド力で選ばない
給料やブランド力で選ぶことはおすすめしません。なぜなら、外発的動機付けによる意欲の向上は長続きしないからです。
それはまるで、憧れの高校や大学に入学した時の高揚感が長く続かないように、欲しかったブランドものバッグや服を手に入れても大事にするのは最初だけのように、一時的なものなのです。
すぐに失われる感情を重視して優先度を決めると、後々後悔することになるので注意しましょう。
注意点② “好き”で仕事を選ばない
好きを仕事にするのも気持ちはわかりますが、やめてください。消費者として楽しむことと、プロとして労働することは大きく異なります。趣味は趣味だから楽しめるのです。
例えば、「パンを食べること」が好きだったとしても、パン屋としての適性のない人がパン屋になってしまうと、以下のように良い側面ばかりではないかもしれません。
- 朝早く起きるのが辛い
- パンを捏ねる力仕事が負担になる
- パンの匂いがつくことにストレスがある
- クレーマー気質の客との会話に疲弊する
- 大きく変化のない毎日に物足りなさを感じる
- 機械化されていて自分の存在意義を感じない
なにより「パンを食べることが好き」と「パンを作ることが好き」は根本的に異なります。他にも、ゲームや映画、飲食業界などでも同様の事象が起こりやすいので注意してください。
注意点③ 生涯の仕事にできそうかで選ばない
一生の仕事をいまの段階で決めようとしないでください。エンジニアやWEBデザイナーという仕事が30年前になかったように、10年後20年後なにがあるかわからないからです。
「計画された偶発性理論」で述べられているように、個人のキャリアの8割は、予想していなかった偶発的な出来事によって決まります。
なにより、これから長く続くキャリアにおいて、生涯の仕事を、現時点で持っている知識だけで決めてしまうのは浅はかと言わざるを得ません。
現時点で一生涯の仕事を決めても良いのは、ルールが変わることのない安定した業界(例:野球やサッカー選手といったスポーツ系のみ)だけです。
注意点④ ”あと1年で死ぬなら”で選ばない
「あと1年で死ぬなら」と視野を狭めて感情的な判断に逃げるのはやめてください。考えやすくて楽かもしれませんが、長期的な利益のために短期的に我慢をすべきケースがあるからです。
それこそ古い時代に、目の前にある果実や動物をただ狩って食べる狩猟生活から、種を植えて育てる農耕生活にシフトしたように、未来を見据えたからこそできる投資があります。
将来のことを考えて自ら努力を積み上げることができるのは“人間”だけです。常に自分が思い描く長期的なキャリアを漠然とでも考えたうえで、どういった1年を過ごしたいのかを考えてください。
自己分析や適職診断に便利なサービス
ここでは仕事選びで重要な自己分析や適職診断を手助けしてくれるサービスを紹介していきます。
- AI適職診断(by Assign)
- コンピテンシー診断(byミイダス)
- 就活/転職エージェント
- キャリアコーチングサービス
いずれも限られた情報の中から判断するので、100%正解なわけではありませんが、それでも仕事選びの指針にはなります。悩んだらぜひ利用してみてくださいね。
AI適職診断(by Assign)
転職アプリAssignは、3分ほどの診断であなたに合った仕事(業界、職種)をランキング形式で教えてくれるAIシミュレーションアプリです。
他の転職サービスにも似たような適職診断はありますが、Assignの場合、適正にあった仕事を「業界×職種」で教えてくれて、具体企業名もわかるのがユニークなポイント。
そして、キャリア診断を受けてから「エージェント相談」や「企業求人への応募」といったアクションまで、キレイな導線がつくられているのが特徴です。
- 適正の高い仕事(業界と職種)がわかる
- その仕事で募集されている企業求人が見れる
- その求人に詳しいエージェントに相談できる
【公式】https://assign-inc.com/assign/
転職アプリAssignの基本情報 | |
タイプ | キャリア診断アプリ |
利用料金 | 無料(IOS/Android) |
求人件数 | 非公開 |
運営会社 | 株式会社アサイン |
公式サイト | https://assign-inc.com/assign/ |
コンピテンシー診断(byミイダス)
ミイダスは入力情報をもとに市場価値を教えてくれる転職アプリですが、登録後に受けることができる「コンピテンシー診断」が仕事選びにとても便利です。
下記のように「パーソナリティの特徴」「向いている職種」や「ストレス要因」などがわかるので、仕事を選ぶ上でのヒントになります。
※ミイダスのコンピテンシー診断
就活・転職エージェント
就活・転職エージェントとは「仕事を探している方」と「採用したい企業」の間に入って、お互いが納得するマッチングを提供・支援しているサービスのことです。
以下のように採用企業から報酬を受けてっているので、求職者(仕事を探している人)からすると、無料で使えるというメリットがあります。
- キャリアアドバイス
- あなたに合う企業求人を紹介
- 採用企業側への推薦
- 選考対策(書類添削や面接練習)
- 各種調整(日程調整や連絡)
就活・転職エージェントは「仕事探しのプロ」なので、自分に合う仕事を探しているのであれば、まず一度利用してみることをおすすめします。
- 就活なら
キャリアチケット|4人に1人が利用
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