非認知能力とは
非認知能力とは、学力テストといった数値で測定できないが、人生を豊かにするために必要な能力のことです。以下の3要素から成り立っています。
- 忍耐力
最後までやり抜こうとする能力 - 社会性
人とうまくコミュニケーションを行うことのできる能力 - 感情コントロール
自分の気持ちを適度に抑え、アウトプットできる能力
非認知能力は、幼少期(3~5歳)に確定し、大人になってからの幸せや経済的な安定に直結するとされているので、教育分野で非常に注目を浴びています。
非認知能力の特徴
3~5歳までの幼児期に形成される
ノーベル賞獲得の経済学者ジェームズ・ヘックマン教授によると、非認知能力は5歳までに決まり、東京大学名誉教授の汐見稔幸教授によると、非認知能力を形成する土台は3歳までに作られるとのことです。
なお、非認知能力が幼い頃に形成される理由は、脳科学として解明はされていないものの、生命を維持し、身の危険を察知する、いわば「生きる力」であるからこその必然とされています。
いずれにせよ幼児教育において重要視されるようになり、平成30年4月施行の『幼稚園教育要領』『保育所保育指針』において、保育・教育方針の一貫として盛り込まれるようになりました。
非認知能力の影響を確認する研究
1972年「アベセダリアン・プロジェクト」という長期的な研究がアメリカで行われました。なお「アベセダリアン(abecedarian)」は「初歩の」「なにも知らない」という意味を持つ英単語です。
この研究では、貧困家庭に生まれたアフリカ系アメリカ人の子供約100人を2つに分け、一方のグループにだけ非認知能力を高めるような教育を行いました。
その結果、幼少期にそのような教育体験を受けた子供たちは、犯罪に手を染める人の数も少なかっただけでなく、学校の出席率や大学への進学率が高く、専門スキルの必要な仕事(すなわち収入の高い仕事)に就いた確率が多かった、とされているのです。
非認知能力を育てていく方法
非認知能力を伸ばすための教科書や学習塾はほとんどないので、各家庭で実行していくことが中心になります。効果を数値化することもできないので、根気強く続けていく必要があるでしょう。
非認知能力を育てていく方法#1
基本的信頼感を与えること
基本的信頼感とは、自分が他者をどれだけ信頼できるかという心理概念であり、例えば、以下のようなコミュニケーションによって、高めることができるとされています。
- 子供が転んで泣いたら
「だいじょうぶだよ、すぐ痛くなくなるよ」 - 手伝いをしてくれたら
「ありがとう、ママはうれしい」 - なにかできるようになったら
「すごいねえ!よくできたねえ!」
これらの反応によって子供は基本的信頼を持つようになり、基本的信頼感が土台となって非認知能力が伸びていくとされています。例えば、痛くても我慢する、喜んでもらえたら奉仕的になる、できることが増えたらチャレンジ精神や意欲の向上につながる、などです。
1人で生きていくことができない子供は、誰か(=両親)に頼りながら生きていくので、その育ててくれる相手(=両親)からの影響を強く受けることになります。
それだけ、幼少期に愛情を注いでくれる両親の存在は重要なのです。
非認知能力を育てていく方法#2
子供の好奇心の芽を摘まないこと
非認知能力を高めるためには、子供の好奇心の芽を摘まないことが重要です。子供のやっていること(イタズラ含む)に対して寛容になる必要があります。
- 壁に落書き
- トイレットペーパーで遊ぶ
- 観葉植物の植木鉢をひっくり返す
- ゲーム機にボンドを垂れ流す
- コンセントに硬貨を挟んでショートさせる
このように、好奇心から数々のいたずらをするものですが、危険性を伴うものであったり、他人に迷惑をかけるようなものでなければ、咎めないでいてあげることが重要です。
また、年齢によっては「なんで?どうして?」と様々なことに疑問を持ち始めるでしょうが、邪険にせず、好奇心を育ててあげてください。